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大阪地方裁判所 昭和49年(わ)779号 判決 1974年8月08日

一、本店所在地

大阪市東区元伊勢町七八七番地

株式会社日ノ下商店

代表者

代表取締役 日ノ下幸史

二、本籍

上野市相生町二八四六番地

住居

大阪市東区元伊勢町七八七番地

職業

株式会社日ノ下商店代表取締役

日ノ下幸史

昭和五年一〇月一六日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官加藤保夫、弁護人田辺満各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社日ノ下商店を罰金六〇〇万円に、被告人日ノ下幸史を懲役八月に、それぞれ処する。

被告人日ノ下幸史に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社日ノ下商店は、大阪市東区元伊勢町七八七番地に本店をおき、ステンレス特殊鋼等の販売業を営んでいるもの、被告人日ノ下幸史は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人日ノ下幸史は、不況時対策等資産の備蓄を目的として、同会社の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一、被告人株式会社日ノ下商店の昭和四五年四月一日から昭和四六年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が一五八九万三九六一円で、これに対する法人税額が五五六万七五〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上仕入単価を過大に計上し、売上単価を過少に計上するなどの行為により、右所得金額のうち一五一九万七一八二円を秘匿したうえ、昭和四六年五月二八日、大阪市東区所在東税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六九万六七七九円で、これに対する法人税額が一八万四二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税五三八万三三〇〇円を免れ

第二、被告人株式会社日ノ下商店の昭和四六年四月一日から昭和四七年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が三二七七万八七八円で、これに対する法人税額が一一五九万九八〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち二八〇三万三九八七円を秘匿したうえ、昭和四七年五月三〇日、前記東税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四七三万六八九一円で、これに対する法人税額が一二九万七三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一〇三〇万二五〇〇円を免れ、

第三、被告人株式会社日ノ下商店の昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度において、その所得金額が三八〇一万九四〇一円で、これに対する法人税額が一三五八万四〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち三二〇三万八四〇一円を秘匿したうえ、昭和四八年五月三一日、前記東税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五九八万一〇〇〇円で、これに対する法人税額が一八一万円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一一七七万四〇〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示冒頭の事実につき、

一、登記官佐藤節夫作成の商業登記簿謄本

一、被告人日ノ下幸史認証の定款写

一、被告人日ノ下幸史の検察官に対する供述調書

判示第一ないし第三の各事実につき、

一、次の者に対する大蔵事務官作成の質問てん末書

被告人日ノ下幸史(一五通)、日ノ下ミヨ(二通)、浦田勝利(二通)、戒田純、横山美喜夫

一、次の者の作成した供述書

戒田純、横山美喜夫、藤井清

一、次の者の作成した確認書

水沢弘美(昭和四八年九月二八日付-記録二一の五号とされているもの、同一一月七日付、同八日付)中村一夫(二通)、南健一(二通)、辻村公夫、横田善一郎

一、大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書二通

一、次の大蔵事務官作成の査察官調査書

岡山栄雄(二綴)、小畠需(昭和四九年一月一一日付)

判示第一の事実につき、

一、東税務署長認証の昭和四五事業年度法人税確定申告書謄本

一、水沢弘美作成の確認書(昭和四八年九月二八日付-記録二一の一〇号とされているもの)

一、次の大蔵事務官作成の査察官調査書

土屋義昭、小畠需(昭和四八年一二月一九日付)

一、押収してある総勘定元帳(昭和四五事業年度分、昭和四九年押第四八七号の一)

判示第二の事実につき、

一、東税務署長認証の昭和四六事業年度法人税確定申告書謄本

一、辻尾隆郎作成の供述書および同人に対する大蔵事務官作成の質問てん末書

一、次の者の作成した確認書

水沢弘美(昭和四八年九月二八日付-記録二一の一〇号とされているもの)、大若和三

一、次の大蔵事務官作成の査察官調査書

土屋義昭、小畠需(昭和四八年一二月一九日付)

判示第三の事実につき、

一、東税務署長認証の昭和四七事業年度法人税申告書謄本

一、大若和三作成の確認書

(法令の適用)

一、被告人株式会社日ノ下商店

1、構成要件 法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項(判示第一ないし第三)

2、併合罪処理 刑法第四五条前段、第四八条第二項

二、被告人日ノ下幸史

1、構成要件 法人税法第一五九条第一項(判示第一ないし第三)

2、刑種決定 懲役刑選択(判示第一ないし第三)

3、併合罪処理 刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

4、執行猶予 刑法第二五条第一項

(量刑事由)

本件各犯行の動機、態様、結果(とくにそのほ脱税金額-二七四五万九八〇〇円、ほ脱率-全体で約八九・三パーセント)、犯行後の事情、被告人日ノ下幸史の経歴、家庭事情等を考慮した。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 堀内信明)

右は謄本である。

昭和四九年八月二九日

大阪地方裁判所第一二刑事部四係

裁判所書記官 槌屋喜久夫

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